富士ゼロックス「Color 1000i Press」導入 オフセットの小ロット物を移行 デジタル印刷機による生産増加を加速
河北印刷㈱(本社/京都市南区、河北喜十良社長)は今年8月、富士ゼロックスのカラーオンデマンド印刷機「Color 1000i-Press」を同社デジタルプリンティングシステムの陣列に加えた。最大の導入ポイントとなったのは、オフセット印刷との近似性と生産性、特殊トナーヘの対応だ。同社はオプションのゴールドトナーを西日本地区で初めて採用した。河北社長は「力ラーデジタル印刷のメインマシンとして活用するとともに、これまでオフセットで印刷していたカラー印刷物についても、小ロットのものはColor 1000i pressに徐々に移行している」と話しており、これによりデジタル印刷機による生産増加を加速させていく考えだ。
同社は、明治39年に創業した京都の老舗印刷会社である。関西を中心に自治体の市史、町史、学術雑誌や手帳、宗教書などの編集から印刷・上製本までの一貫生産を手掛けてきたが、将来的なデジタル印刷の普及を予測して1995年にIndigoの「E-Print」上を導入し、デジタル印刷市場に進出。これにより社内のデジタル環境を一気に整え、2年後の1997年に富士ゼロックスの「DocuTech 135」を導入してからは一貫してゼロックス製のデジタル印刷機を愛用しており、現在は「Color 1000i-Press」、「DocuColor 5000」、「Nuvera 144 EA Production System」、「D125 Light Publisher」のカラー2台/モノクロ2台の全4台のゼロックス製デジタル印刷機を活用し、高度化・多様化するクライアントニーズに対応している。
■「テカリ」の問題を解決
今回、同社が導入した 「Color 1000i Press」は、薄紙から厚紙までの様々な用紙に毎分100ページの高速プリントを実現するとともに、オフセット印刷と遜色ない品質を実現するカラー・オンデマンド・パブリッシングシステムとなっている。
Color 1000i Pressについて河北社長は、「テカリの問題を解決できていることは高く評価できる。オフセット印刷と遜色ない品質で出力することができ、とくにテカリが目立つ『人の肌』の写真なども問題なく出力できるため、雑誌の表紙などのデジタル印刷による出力も可能になった」と評価。
導入後は、これまで「DocuColor 5000」で生産していたカラー印刷物のほとんどをColor 1000i Pressに移行し、カラーデジタル印刷のメインマシンとして活用するとともに、これまでオフセットで印刷していた力ラー印刷物についても、小ロットのものはColor 1000i Pressで出力するように少しずつ移行しているようだ。現在、「DocuColor 5000」はサブマシンとして活用しているという。
■西日本地区初でゴールドトナーを採用
Color 1000i Pressは、特殊トナーとしてゴールド/シルバー/クリアの中から1色を追加できる。これにより、オフセット印刷の特殊インクで対応していたデザインをデジタル印刷で生産することが可能になった。
これにより、表彰状の飾り紋やグリーティングカード、インビテーションカードなどのデザインに使用することで高級感を演出できる。また、CMYKトナー同様のハーフトーン表現なども可能で、文字の再現にも優れている。
同社では表彰状や京扇子など「ゴールド」を扱う印刷を行っているため、自社の仕事にマッチする特殊トナーとして「ゴールド」のオプショントナーを西日本地区で初めて採用した。
デジタル業務部の大藪良太副部長は、「これまで、ゴールドの印刷には金箔もしくはオフセット印刷の先刷りにて対応していたが、これをインラインで行えるようになったことにより、これらの生産性、コスト面への貢献と、今後の新商品・サービス開発での活用が期待できる」と評価している。
■大手メーカーならではの安心感
1997年に「DocuTech 135」を導入して以来、18年間にわたり富士ゼロックスユーザーとして同社製品を愛用してきた河北印刷。河北社長は、富士ゼロックスの評価について「大手メーカーならではの保守体制の良さ」を懇に挙げている。
「富士ゼロックスは京都にも事業所があるため、万が一、トラブルが発生してもすぐに来てくれる。これは我々ユーザーにとって非常に重要なことで、これにより安心して仕事に専念することができる。また、ゼロックス製品はユーザーが多いため、繁忙期には仕事を出し合えることも安心。DSF(ドキュメント・サービス・フォーラム)という富士ゼロックスのユーザ会が全国にあるので、京都で受注した製品を北海道や九州で出力することもできるわけである」(河北社長)
■デジタルに関する総合的なサービスを展開
同社では、アナログをデジタルデータに変換するサービスやデータをサーバーで預かる業務も展開しているが、万が一のデータ損失へのリスク対策として、京都本社と東京事業本部の両方にサーバーを設置し、両方で顧客データや加工データを管理するサーバーデータの双方向リアルタイム複製(ミラーリング)を実現するシステムを構築している。
サーバーでデータを預かるサービスのメリットについて河北社長は、「当社は一部上場企業など大手の取引先が多いため、データ管理にはとくに気を使うが、データを預かることにより、これが紙メディアの印刷にもつながっている」と話す。
一方、同社はインターネットを使用したサービスとして「オリジナル京扇子」のネット通販を早くから展開しており毎年多くの受注を得ているが、今年8月から、金箔・銀箔や金糸・銀糸に色糸を交え、紋様が浮き出るように織った紋織物「金らん」を表紙に用い、紙面にも京都らしい風情をあしりった手帳「京はんなり帖」のネット通販を開始した。外国人などに人気で、すでに300冊以上が売れているようだ。
今後の展開について河北社長は、「デジタル印刷だけでなく、データの作成からそのデータのリスク管理、印刷、製本、配送までの全工程を社内で一貫生産できることが当社の最大の強み。デジタルに関連するサービスを総合的に行える印刷情報関連産業の総合企業としてさらなる顧客満足度の向上を目指したい」としている。
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